バリュー投資、ファイナンス関連書籍/資料

貯蓄から投資へ、、などと言われて久しいですが、「ちゃんと」と投資することは決して簡単なことではありません。
インデックスにとりあえず投資するなどでしたら分かりますが、個別株式、債券などに「雰囲気」ではなく、定量的/定性的に分析した上で投資することは、かなり好きでないと、かつ様々な理論を理解していないことには、中々困難なことかと思います。
日々、自分の実行してきた各投資アングルを疑っており、より理解を深めたいと思ってはいますが、、今回は、個人的に今までで影響を受けた書籍や資料を紹介したいと思います。新年ですしね。。
コーポレート・ファイナンスの基本です。学生時代に寄付講座かなにかで使用されており、当時ファイナンスに関しては無知でしたが、この書籍で相当金融に関する物事がはっきりと見えてきたことに感動しました。価値とは何なのかを深く理解することができると思います。
企業価値というものは中々理解されておりません。企業価値=株式価値+純有利子負債、という単純に説明しているケースが多いため、本当の理解が中々されていないように感じます。何が企業価値なのか、何が株式価値なのかを深く理解するのに非常に役立ちます。
上記の4冊で基本的な理論は理解できると思います。きっとそれまでファイナンスを学んでいない人にとっては、物の考え方が変わるほどの良書だと個人的には思います。
加えて、スプレッドシートを使用して簡単に企業価値の算定をできるようにしておくと、定量面でもしっかりと手を抜くことなく分析するようになるかと思います。保守的にキャッシュフローを見積もっても、割安であると数字でしっかりと説明できるようになることが重要だと思っております。
1, 2の書籍を読むと、じゃあ実際の企業価値評価はどうなってるのかと気になると思います。私は実際にはCapital IQなどを会社で利用していたため、四季報スクリーニングではなかったですが、うまく四季報スクリーニングの計算式をカスタマイズすれば、企業価値評価に重要ないくつかの指標をみることがかなり安くできます。確か3ヶ月8000円くらい。(デフォルトで入っている企業価値の計算方法は現金や少数株主持分が含まれていなかったり、結構雑です。また、自社株なども時価総額の計算に入ってくるので注意する必要があります)
うまく活用すると、信じられない企業価値がついている企業があることに気付くと思います。
言わずと知れた名著。70年ほど前に出版されたにも関わらず、未だに最高の一冊と言われている書籍です。Margin of Safetyというコンセプトを知るということはとても役に立ちます。また、3.でスクリーニングをしてみた結果を見ると、、ああ、こういうことか、、と感じると思います。
1-4までで正直十分だと思います。あとはひたすら開示資料を精査し、理論価格をスプレッドシートで保守的に見積もり、明らかに歪みがあるものに投資するというのが、今の投資スタイルです。
おまけ
以下は自分の考え方をすっきりさせるのに、役立つ要素があるかと思います。1-4よりも読みやすいので、分析に疲れた時などに、さくっと気分転換するのによいかもしれません。
 
1-4を読んだ後に、この本を読むと、結果的にバリュー投資に対しての選好がより強くなるのではないかと思います。こちらの書籍はなぜ投資家が運を実力と勘違いしてしまうのかをとても分かり易く書かれていますが、バリュー投資(より古典的な)については記載がないのです。何故なのかは著者ではないので分かりませんが、トレーダーがバックボーンである人の特徴かもしれません。
  
信じられないほど格好悪い題名ですが、紹介されている指標はとても良いです。キャッシュフローの強さと企業価値評価を強く意識した指標が紹介されており、まあ、1-4までのエッセンスの補助的な意味合いとしては良いです。
 
こちらもとても格好悪い題名ですが、元の題はThe Education of Value Investorなので、訳の問題ですね。
効率的市場仮説信者のエリートがどのようにして、自分の投資スタイルを確立していったかがとても読みやすく描かれております。
機関投資家が当然のように行う、経営陣とのミーティングなどを否定しているなど、独特な見方が多いです。
株価を頻繁に見ないというような考えももっており、個人的には言っていることにとても共感できます。
空売りについての教科書的な本です。少し古いですが、様々な実例が上げられており、かなり面白いです。
一方で、空売りすることの難しさにも気付くのではないかと思います。とはいえ、長く投資をしていれば、絶好の空売り機会にも遭遇することはあるでしょうから、しっかりと理解、意識しておくことは重要だと思います。今、気づいたんですがバカ高いですね。。
Distressedがメインです。これも、投資機会を広げておくのに読んでおいて損はしないと思います。純粋に面白いです。
8-9は基本的な分析内容は株式投資とエッセンスは同じである一方で、商品性を考慮して、より注意深く投資する必要があるかと思います。
以上、ちょっと長くなってしまいましたが、1-4を理解した後はひたすらスクリーニング→開示資料の確認→詳細分析をやっていくことが良いのではないかと思います。

2017年

今年は個人的には大きな年であり、4月からはついに長年興味があった投資を実行することができて大変良かったです。
長年興味を持っていた理由は以前に書いた通りですが、キャッシュフローが強く、企業価値が明らかに割安な状態で評価されている企業が沢山日本市場にはあるにも関わらず、職業上の関係で投資できない状況にいてもたってもいられない状況でしたが、ついにその歪みに投資をすることを実行できました。
4月から徐々に取得を開始し、結果的には13社に投資し、そのうち2社については売却済みです。12/29時点では11社保有している状態です。
パフォーマンスとしては、資産残高は+42.5%となりました。
思っていた以上に、バリュエーションの歪みの調整が早いタイミングで進んだ銘柄があり、結果的に売らざるを得ない状況になったのが想定外でしたが、他にも投資したい企業はありましたので、効率よく投資できたかなという感想です。
投資手法として、バランスシートの観点から既におかしい評価のものを取得しているので、株価が仮に下がっている期間も、特段気にすることもなく、買い増しなどの行動を実行できたのが良かったです。バリュエーション上、不安に思う要素が相対的に少ない(もしかしたら割高なのかもしれない、思ったほど成長しないかもしれない等)というメリットを最大限精神的にも享受できたかなと思います。一方で、株価下落時に買い増しをしすぎた銘柄も一つあり、株価がかなり上昇したので結果的には良かったのですが、ポートフォリオのバランスを不用意に歪めてしまったことは反省しています。
それぞれの投資先の業績は、概ね想定通りではありましたが、基本的には大分保守的な数字を評価では使用しているので、一部の投資先では想定を上回る業績でした。
来年も基本的には投資戦略は変える予定はなく、キャッシュフローが安定的に見込まれ、BS上割安な評価となっているものが見つかれば粛々とに取得していこうかと考えております。当然ながら、ビジネスの強固さなどは投資判断に影響はしますが、極力”予想”といった、不確実なものを取り除くスタイルは継続です。

ヤガミ(7488)売却

アグロカネショウを8月に売却して以来の全株売却を実行しました。ヤガミ(7488)です。
ヤガミ(7488):学校向けの理科学機器設備、保健医科機器の販売商社。

投資実行: 2017/4 (911円)
売却実行: 2017/11 (1,680円)
リターン: 1.84x

投資実行時のテーマ:
+超割安: EVが-16億円!時価総額/(流動性資産-総負債)が60%程度と超割安。
+そこそこのキャッシュフロー創出力: EBITDAマージンで14%程度、設備投資も限定的
正直に言って、ビジネスに関してはそこまで魅力を感じることはなかった一方で、明らかにバランスシート項目が考慮されていないようなバリュエーションがついていました。
DCF上で永久的にFCFがマイナス成長していく想定だとしても十分に割安であり、買わない理由を探す方が難しかったという状況でした。
さらに、試算される株式価値に対して40%程度のディスカウントをしたものをターゲット価格としました(1,605円)。。これはビジネスがある程度安定しているのは分かる一方で、日本国内の学校向けや官公庁が主要顧客であるという、将来的に跳ねる可能性がほぼ現状見込めないことから、かなり保守的に見た結果です。
取得後は、特段大きな事項はなかったですが、創業者の株式を集中させるためにTOBが実施された後くらいから大分株価が上昇しました。創業家の持ち分が大きく、持ち分をやがみビルに集中(2/3程度)させるためにはTOBがプロセス上必要となり、ある程度注目されたのではないかと思います。
通常のTOBとは異なり、特定株主から特定株主に異動させる目的のTOBなので、TOBプレミアムが設定されたものではない買い付けでしたが、TOBというだけである程度ニュースにはなりますからね。
売却時のEV/EBITDAは1.7x程度であり、まだまだかなり割安な感もありますが、そもそものテーマが超割安ということのみでしたので、十分にターゲット価格もいつの間にか上回っておりましたので、売却しました。想定より大分早い歪みの解消だったという感想です。

毎日、毎分、毎秒株価を見ることの弊害

投資を初めてみると分かりますが、殆ど全ての人が毎日の株価を気にするものです。人によっては毎時間、毎分、頻繁にチェックするということもあるでしょう。デイトレーダーがこういったことをするのは当然ですが、中長期投資を謳っている人も同様のことをするケースが殆どです。
こういった傾向は、機関投資家、専業個人投資家に多くみられ、兼業の個人投資家でもよくみられます。
決算など何もその企業にとって新しいニュースが出ていないのに、株価を気にする。これは中長期投資を謳っている人にとってはおかしいことに思えます。仮に株価が数%上下したところで、なにかできるのでしょうか。ターゲット株価にかなり近づいている時には株価チェックも必要かもしれませんが、基本的には時間の無駄ですし、何より日々の株価の動きをみることは精神的にも無意味に疲弊します。
先日ノーベル経済学賞をとったリチャード・セイラー氏が衝撃を受けたといっている、ダニエル・カーネマンとエイモス・トヴェルスキーが提唱したプロスペクト理論でも述べられていますが、”人は利益を得たときの喜びよりも損をしたときの悲しみの方が感情としての影響としては大きい”ということは実感ベースでも分かるかと思います。
全体としては株価が取得時よりも上がっていたとしても、毎日チェックすることで、前日よりも上がった下がったと、無意味に一喜一憂してしまうという事実を認識する必要があるかと思います。実際、日々の株価推移をまとめて、毎日コメントすることは中長期投資家にとっては無意味だと考えております。それこそ、ファンダメンタル上はなにも変化はしていないのですから。
バリュー投資家全員が目指すと言っても過言ではないWarren BuffetのBerkshire Hathawayの株価推移を、最大の敬意も込めて例としてみてみます。.jpg
1985年に1,730ドルであった株価は32年後の2017年では281,950ドルです。これは約160倍であり、年率では17%程度という驚異的なリターンだということは分かるかと思います。こんなに素晴らしいリターンですが、例えば株価を毎日チェックしていたらどの程度上下していたのでしょうか。
簡単に見てみたところ、前日比で株価がマイナスであったのは3,807日、プラスであったのは3,801日、変化なしであったのが636日です。
このように株価は日々上下しながら動くものですし、その上下自体に意味がほぼないことも分かるのではないでしょうか。
{ちなみに最も値上がりしたのは2008/11/21の16%(これは金融危機後にかなりBerkshireの株価が下がっているときの中で)、最も値下がりしたのはブラックマンデーの1987/10/19の-19%です。}
人間の脳はあまり優れていないと個人的には思っており(少なくとも私は)、無意味なノイズからはできるだけ守ってやる必要があるかと思います。本当に必要なときのみ、株価のチェックをしたほうがいいのではないかというのが持論です。
株価の動きを追いすぎることで、自分の投資テーマに過剰に弱気になったり強気になってしまい、間違った判断をすることをできるだけ防ぐことが重要です。

株価というのは魔力があり、どうしてもチェックしたくなってしまいます。自分でルールを作って、1週間に一度、1ヶ月に一度確認するくらいが脳へのダメージも減らし、時間も有効に使えると思うのです。

一日に一回以上見る人も非常に多いかと思いますが、、これは言わずもがなですね。

 

飽くまで、中長期のバリュー投資家に向けた話です。

個人投資家の機関投資家に対する優位性

株式市場は魑魅魍魎が跋扈する恐ろしい場所であり、素人が参加すると必ず痛い目をみる。そんなことはよく目にするかと思います。この話はある意味あたっていて、個人投資家のうちでもリテラシーのない人は相場の騰落に踊らされて、運が良くない限りは資金を失うことになるでしょう。
ネット上でもヘッジファンドの動きなどを非常に気にしている人が多いですが、バリュー投資家は企業価値の歪みを探索し、市場の需給バランス云々とは別の角度から投資を行うのみですので、正直機関投資家の動きが気になったりすることはありません。(歪みの是正にはこれらの機関投資家から投資されることもままありますが)
とはいえ、機関投資家の存在は気になるとは思います。今回は一般的に機関投資家に対して個人投資家の優位性を中心に考えを記載してみたいと思います。

1. 報告義務: 機関投資家は大部分の資産を年金基金/富裕層/個人などから預かって運用しています。それらの投資家に対してパフォーマンスについて都度都度報告しなくてはいけなく、パフォーマンスが悪化している際にはその説明に相当程度の時間が求められ、これは非常にストレスです。市場がなにかに過剰に反応し、一時的に個別企業単位では理由なく下げてしまうことは多々ありますが、その際にもいちいち対応しなくてはいけません。また、何か”仕事”をしていないとサボっているとまでは言いませんが、なにをしているのかという風に見られることもあり、長期的投資をうたっている機関投資家でも売買は比較的頻繁にされております。(3年間同じポートフォリオであることは殆どないといった意味です)また、投資先決定の際にも必要以上の取材等を行ったりします。工場見学したからといって良い投資先かどうかを確認できるかどうかなどほぼ不可能です。

2. 解約リスク: 基本的には上場株を取り扱っている機関投資家は常時mark to marketされている状態です。そして、預かり資産は常に解約されるリスクにさらされています。毎月、ないしは毎日解約されている状態にさらされているため、長期投資には向いていない形態となります。市場が仮にパニックになり、一時的に下げた場合、本来は仕込みどころでもあるわけですが、こういった際に解約されてしまうと、株式の持ち分をキャッシュ化しなくてはならず、売りたくない持ち分も売却しなくてはいけなくなってしまうのです。

3. 規模: 大抵の機関投資家は、個人投資家よりも相当大きな資産額を運用しております。運用額が大きいと、基本的には流動性が高く、時価総額が大きい企業にしか投資できなくなります。例えば時価総額100億円の企業の株式を5億かって、3倍になったとしても、+10億円であり、例えば5000億円を運用しているファンドにとってはあまりインパクトがないのです。わざわざ大成功してもインパクトが小さい投資先を探すことはコスト(時間含む)的にも合わないのです。また、ポジションを築くのにも売却するのにも、株式の流動性が低い企業だと大変時間がかかってしまうため、基本的には投資対象としないファンドが非常に多いです。従って、小型のバリュー投資を実施できる機関投資家はそもそも余り多くなく、魅力的であっても実は手を出せないということも多々あります。

以上の通り、個人投資家は自由に、自分のやりたい通りに投資実行可能であり、確率した投資スタイルを有する人にはむしろ好ましいことが分かるかと思います。個人で
きっと自分よりも優れているなどと考える必要はないのです。以下のリンクを見てみれば分かりますが、ヘッジファンドは毎年どんどん設立されている一方で、それ以上のペースで潰れてもいるのです。http://www.businessinsider.com/one-of-the-biggest-hedge-fund-launches-of-all-time-is-reportedly-shutting-down-2017-3

機関投資家、特にヘッジファンドのいいところは、投資リターンが上がらなくても運用資産の1-2%程度毎年を得られることですね。そりゃみんな運用額を大きくしたいと思うのも自然なわけです。(当然、大きな運用額で大きな投資利益を得ることができる人は、特に年金基金などの多大な資産を保有するところからすると純粋に最も優れているということになりますね)