企業価値アプローチ(DCF)、純流動資産価値、純資産価値(PBR)について

以前、投資の意思決定に参考にしているバリュエーション方法について書きましたが、今回は少し追記しようと思います。
まず、以下の二つが私のメインのバリュエーション方法です。
・企業価値(EV)算定
・純流動資産(ネットネット)
企業価値(EV)算定
まず、企業価値算定については、以前にも書きましたが将来FCFの現在価値の合計です。そこからDebtの出してに帰属する価値を引いたものが(有利子負債)株主に帰属する価値、いわゆる株主価値となります。株主価値を発行済株式数で除したものが計算される株価です。
上記の試算をするには将来FCFの予想値を使用してDCF法を利用する必要があります。
上場株式の場合は、既に株主価値が市場により決まっているので、企業価値を逆算することができます。
企業価値=株主価値+純有利子負債+少数株主持分
よく勘違いされますが、有利子負債以外の負債(買掛金など)は、企業価値算定では基本的には運転資本の増減として将来のFCF項目の一つとして扱いますので、純有利子負債のように取り扱う必要は基本ないです。
現在の株価から計算した企業価値と、DCFによって算定された企業価値を比較すると大分差がある企業がたまにあります。
将来FCFはかなりブレるものでもあるので正確にに予測するのは無理ですが、大分保守的にみても歪みが生じていることがあります。
例えば、企業価値が0だったりマイナスと評価されている企業がありますが、本当にそうなのでしょうか。
企業価値0とは将来FCFの現在価値が0ということですね。では、企業価値がマイナスなら?
深く理解するためには、以前紹介した書籍に詳細に記載されていますのでお薦めします。
まあ、簡単な本でもいいのですが、正直勘違いしたまま分かったような気がしてしまう類のケースも多くあると思います。
ちゃんと理解するには、専門的なものも読みつつ、疑問点が出てくると思うのでしっかりと考える必要があるかと思います。
 
純流動資産価値(NCAV、ネットネット)
純流動資産とは、Benjamin Grahamの著書によって広められたかなり有名な手法です。
これは、完全にバランスシートのみを見ます。将来FCFなどは全く考慮せず、その時に会社を清算したらどの程度株主に帰属する価値があるかを確認し、現在の時価総額と比較して投資判断をするというものです。
BSの資産サイドのうちの流動資産から、負債サイドの総負債を引いたものが、時価総額の66%程度であったらネットネット株であるという定義です。
66%というのは、より保守的に見ているためであり、流動資産のうちの現金以外の資産を一定程度ディスカウントして評価しているとも言えます。
今このタイミングで清算し、100億円株主に帰属する企業が、66億円の株主価値で評価されているのは明らかにおかしいでしょうということですね。
以上の通り、企業価値算定方法と比較してもかなり保守的であることが分かるかと思います。なんせ、将来のFCFを全く考慮せずに現状の流動資産と負債の差分のみ(固定資産の価値も評価せず)で見るので、この基準に該当する企業はとんでもなく割安であることが分かるかと思います。
流石にこの基準を満たす企業はそこまでなく、あっても結構見通しは暗いところが大半です。これは、Grahamの時代の米国でもそうであったようで、それが故にシケモク株投資(Cigar butt)と言われたりします。タダで落ちているシケモクを拾って一吸いだけする(歪みが解消するタイミングが少しだけ来るので、それが来たら売却する)ということです。
現金を大量に保有する企業は、固定資産の部の投資有価証券も多く保有していることが多かったりするので、この分を評価するのもありだと思います。(特にその中身が債券など現金性が高いものの場合。この点はDCF法でも一緒です)
ちなみに、メジャーな投資手法のPBR(純資産法)は、上記の算定で資産サイドが流動資産だけだったのに対して、固定資産も足し上げたものです。
PBRが1.0xを割っていれば明らかに割安という分かりやすい評価方法なので、よく使用されていると思いますが、現金性が低い資産も含まれてしまうので、ネットネットと比較すると強気な手法っちゃ手法です。とはいえ、スクリーニングも簡単にできるので悪くはないと思います。
以上の手法で割安に評価されている企業を探すのですが、企業価値が歪んでいるものをまず見つけ、さらにネットネット(もしくはそれに近い)だったりすると、ほぼ迷わずに投資ができる、、という感じです。
幸運なことに、日本市場では安定的にあFCFを生むのにも関わらず、割安に放置されている企業がまだまだ多くあります。

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