ヤガミ(7488)売却

アグロカネショウを8月に売却して以来の全株売却を実行しました。ヤガミ(7488)です。
ヤガミ(7488):学校向けの理科学機器設備、保健医科機器の販売商社。

投資実行: 2017/4 (911円)
売却実行: 2017/11 (1,680円)
リターン: 1.84x

投資実行時のテーマ:
+超割安: EVが-16億円!時価総額/(流動性資産-総負債)が60%程度と超割安。
+そこそこのキャッシュフロー創出力: EBITDAマージンで14%程度、設備投資も限定的
正直に言って、ビジネスに関してはそこまで魅力を感じることはなかった一方で、明らかにバランスシート項目が考慮されていないようなバリュエーションがついていました。
DCF上で永久的にFCFがマイナス成長していく想定だとしても十分に割安であり、買わない理由を探す方が難しかったという状況でした。
さらに、試算される株式価値に対して40%程度のディスカウントをしたものをターゲット価格としました(1,605円)。。これはビジネスがある程度安定しているのは分かる一方で、日本国内の学校向けや官公庁が主要顧客であるという、将来的に跳ねる可能性がほぼ現状見込めないことから、かなり保守的に見た結果です。
取得後は、特段大きな事項はなかったですが、創業者の株式を集中させるためにTOBが実施された後くらいから大分株価が上昇しました。創業家の持ち分が大きく、持ち分をやがみビルに集中(2/3程度)させるためにはTOBがプロセス上必要となり、ある程度注目されたのではないかと思います。
通常のTOBとは異なり、特定株主から特定株主に異動させる目的のTOBなので、TOBプレミアムが設定されたものではない買い付けでしたが、TOBというだけである程度ニュースにはなりますからね。
売却時のEV/EBITDAは1.7x程度であり、まだまだかなり割安な感もありますが、そもそものテーマが超割安ということのみでしたので、十分にターゲット価格もいつの間にか上回っておりましたので、売却しました。想定より大分早い歪みの解消だったという感想です。

割安企業スクリーニング方法 / 投資決定判断

スクリーニングに関しては以前簡単に記載しましたが、以下の通りで行っております。

・EV/(EBITDA-Capex)
・Net net比率
・ROIC
・EBITDA-Capexマージン

1. EV/(EBITDA-Capex)
まずこちらの指標を重視しております。その時点での企業価値がその事業が生み出すキャッシュフローの何倍で取引されているかということを表します。例えばこの数値が10倍であるということは、今と同程度のキャッシュフローが10年程度分で評価されているということです。*但し、以前書いた現在価値の考え方を適用する必要があるので、正確には今と同程度のキャッシュフローよりも多く出ているという考え方になりますね。
ちなみにEBITDAとは営業利益に至るまでに減価償却費というノンキャッシュアウト項目が含まれているので足し戻すという金融業界でよく使用される項目です。EV/EBITDAを基準として見ることの方が一般的ですが、個人的にはCapex(設備投資)がPLを通らない項目ですので(営業利益までに計算されない)、キャッシュフローという観点からCapex分を引いたものをその企業の生むキャッシュフローとして見ております。但しCapexは年によって大分上下するので、3年平均の数値を使用しております。Capexをある程度ならすのであれば、減価償却分を設備投資していると考えてEV/営業利益という指標を使う人もいるかとは思います。

私はこの指標が基本的には5倍以上の企業には投資したことはないです。一方で、事業会社やPEファンドのM&Aでこの5.0倍以下で実施されるケースはほぼないと思います。なんで5.0倍を基準にしているのかと言われると非常に答えが難しいですが、5年先くらいならある程度保守的な予想ならば大きく下に外すことはないのではないかという考え方です。
実際は5倍付近のバリュエーションだと次のnet net比率を大きく上回るケースが多いので、かなり事業の成長見込みなどが強く無い限りはもっと低い水準の企業に投資しております。

(時価総額+現金同等物-有利子負債-少数株主持分)/(EBITDA-Capex)< 5.0

2. Net net比率
こちらはかなり割安なものを見つけるのに使用しております。
以前にもこちらに書きましたが、以下の数値が0.66以下である場合はかなり割安であると見ております。

時価総額 /(流動資産(+その他投資有価証券)- 合計負債 )< 0.66

上記の1.2.のうち、特に2の基準をクリアするのはかなり厳しいこともありますが、以下の2つの基準がかなり高ければ少し甘めに見たりもしております。以下の2つの基準は割安度ではなくキャッシュフローの強さをチェックする指標です。

3. ROIC (Return on Invested Capital)
こちらは以下の通り投下した資本に対して、どれだけの営業利益を生み出しているかというよく使われる指標です。EBITDAとか営業利益率は確かに高いけど、こんなに資産を持たないと駄目なのか。。といったような企業を除くための指標だったりします。

営業利益*(1-法人税率)/(純運転資本+固定資産)

4. EBITDA-Capexマージン
こちらは純粋にキャッシュフローの対売上比率を見るものです。高ければ高いほど、製品の値付けがうまくいっている、競合環境がそこまでひどくないのでは、コストコントロールがしっかりしている企業だとかそんなことが伺えます。

上記の4つの指標をベースに該当する企業を四季報CD-ROMなどのスクリーニングツールを使用して探しております。
これは、という企業を見つけたらその企業の財務諸表を中心に公開情報の読み込みを行います。特に注視するのがキャッシュフロー計算書と貸借対照表です。安定的にキャッシュを生み出す力が本当にあるのか、変な負債などがないか?などを中心に数期分を精読し、問題がないようでしたら投資を実行するというようなプロセスを踏んでおります。公開情報はEDINETに基本的にはあります。その他各企業のIR情報などにも資料は公開されております。

企業の自己株式の保有による歪み

特に個人の投資家は多いと思いますが、プロでも株式投資をする上でYahooファイナンスや四季報を見ることは当然多いかと思います。
株価チェックや企業の概要、財務データを見る上で有用であることは確かなのですが、大きく二点ほど不満が。。

一つは時価総額の計算法に関してです。

時価総額=株価x発行済み株式数

であることは基本ですが、それでは自社株買いを行っている企業に関してはどうでしょうか?

株主還元策の主要なものとして配当と自社株買いがあります。配当は株主から資金を還元するものであり、自社株買いは流通している株式を会社が買い入れることで、一株あたりの利益を増加させるというものです。(今後企業が稼ぐ利益の取り分が大きくなるということですね)
自社株買いをした後、会社はその株を消却する場合もあれば、そのままに残しているケースもあります。

ここで問題になってくるのが、上記の時価総額の計算における発行済株式数をどうするのかという問題です。
自社株買い後に自社株を消却する場合は発行済株式からその分の株式数を控除するのは自明です。では、消却せずにそのまま残している場合はどうでしょうか?
基本的には自社株をそのまま消却せずに残している企業は多いです。こういった、自社株を消却せずにそのままにしているものを金庫株などと呼ばれます。Yahooファイナンスや四季報における時価総額の計算法は、金庫株は発行済株式数に含まれているようです。しかし、本当にこれでいいのでしょうか?
個人的には金庫株は発行済株式数から控除されるべきであると考えており、従ってYahooファイナンスや四季報に掲載されている時価総額は高くでてしまっていると思います。

金庫株が発行済株式数から控除されないと考えるのであれば、どうして企業は自社株買いをするのでしょうか?ということになりますよね。中には、金庫株があることによって、将来の希薄化(将来、金庫株を使用して資金調達をするのではないかとかそういった類のこと)が起こるのではないかと考える人もいるかと思います。しかし、実際にこれらの金庫株を使って資金調達をするとか、ストックオプションとして発行されるのではないかと考えることはかなり浅薄です。と、いうのもこれらを実行するには会社法上、新株発行をするのと同様の手続きが必要になるからです。すなわち、上場企業においては金庫株があろうとなかろうと基本的にこのような事象というのはいつでも起こりうるので、金庫株があるから特にその恐れがあると考える事自体ナンセンスです。
株式交換を利用してM&A用に残しておくということもまああり得なくはない考えですが、国内の事例ではあまり見ることがないですね。

以上を踏まえますと、Yahooファイナンスと四季報には早く時価総額の計算法を訂正してほしいということですね。これだと特に個人投資家は金庫株を保有している企業を割高に見積もってしまい、その企業本来の株主価値より高く表示されてしまい買い控える人が増えてしまう(株価として低評価)結果となるかと思います。

まあ、Yahooとか、四季報が計算方法を訂正しなくても企業側がさっくり金庫株を消却するというのも手ではあります。(海外のヘッジファンドから日本企業の金庫株消却についての提案なんていうのも結構きているようですが。。http://jp.wsj.com/articles/-1430521084?tesla=y)

もう一つの不満点はマイナーですが、これは四季報に掲載されている現預金額がしばしば間違っていること(単体の数字だったり、流動資産のうちの有価証券が含まれていなかったり)です。パっと見、大分割安(例えば時価総額が保有現金同等物よりも低かったり)になっているものがちゃんと認識されないことがあるのでよろしくないです。

もっと簡単な割安銘柄の評価方法(ネットネット株)

以前、企業価値アプローチなどをご紹介し、保守的に試算された株式価値が株式市場で評価されているもの(時価総額)より大分割安であればその銘柄はバリュー投資銘柄として適しているのではないかということをお伝えしたかと存じます。

しかし、この手法自体はそこそこ複雑であり、すぐに導入することが難しいともいえます。ですので、もっと簡単に割安かどうかを判断する手法もご紹介させていただきます。個人的には企業価値アプローチと今回紹介する手法、またその他いくつかの指標をベースに割安銘柄を探して投資をしています。

ネットネット株
あまり聞き馴染みがないかもしれませんが、非常にシンプルな考え方です。
要は企業が持っている流動資産とその他の投資有価証券、現金化可能な遊休資産等から負債を引いたものが時価総額の値の2/3以下なら投資するというものです。

流動資産(+その他投資有価証券)- 合計負債 > 時価総額 * 2/3

これは何を表しているかというとその時点で企業が持っている流動資産(現金、売掛金、有価証券等)から負債(将来的にキャシュアウトするもの)を引いたものが全て株主に帰属するということであり、その額が現在市場で取引されている時価総額よりも30%以上低いケースであるということです。

流動資産-合計負債が100億円で、時価総額が66億円であるといった具合です。
この場合、事業を畳んだとしても株主は合計で少なくとも34億円±のプラスになるというものです。尚、固定資産をこの計算に入れていないのは、固定資産の場合実際には現金化ができなかったりするものも含まれるので、より保守的に見ているということになります。(PBRは固定資産も含めた指標になりますね)

この投資アイディアは企業のバランスシート(貸借対照表,BS)にのみ着目した見方です。将来企業が生み出すキャッシュフローなどは考慮せず、現段階で十分に割安な企業を見つけるのに適した考え方です。

これはバリュー投資の祖とされているベンジャミン・グラハムが50年以上前に「賢明なる投資家(Intelligent Investor)」という本に書いた投資手法であり、オマハの賢人/投資の神様と呼ばれるウォーレン・バフェットを始め多くの投資家に影響を与えているものです。

グラハムの偉大なところは、50年以上経っても未だに投資戦略として機能するものを生み出したという点かと思います。

PLしか見られていなくない?問題について

企業価値アプローチ(DCF法)というものを以前紹介しましたが、世の中的に余りにも損益計算書(PL)のみを見る人ばかりで、貸借対照表(BS)とキャッシュフロー計算書(CF)がないがしろにされていると強く感じます。企業が毎期届け出ている有価証券報告書をちゃんと読み込む人が少なすぎることに問題を感じます。

ファンダメンタル云々言っている投資家でも結局PERばかりで、その他の財務数値を軽視していることが多いです。これは2つあり、PLに出てこない財務数値を精査にみているものの、大多数の投資家たちが見ていないため、その考えに合わせている投資家と、そもそもPLしかみていない(特に当期利益)投資家がいます。

財務諸表を細かくて見ている人たいでさえ、結果的に大多数にあわせるという行為をとるという悪循環?が生じているのが現状です。これは既に流通している株式への投資判断としてもそうですが、IPOなどの判断でもPER推しがかなり強いです。
それが理由で、企業(発行体)はかなりのコストをかなりかけてIFRSの導入などをおこない、のれんの定期償却をなくし、当期利益をあげようとしたりします。。あまり生産的な行為だとは思えないです。。(もちろんJGAAPからIFRSに変更するというメリットは他にもあるのかもしれませんが)

まず、貸借対照表(BS)見られてない問題についてです。
これは企業価値アプローチをしてみるとかなり分かると思いますが、企業の保有する現金でしたり、有価証券、また有利子負債、その他の負債等が企業価値を算定する上で相当重要であるのにもかかわらず、PLだけで投資判断をすることは非常に問題です。

企業によって資本構成がかなり異なるケースがあるのに(現金を非常に持っているとか、有利子負債の水準とか)、これを無視してPLのみで判断するのはかなり誤った判断につながります。例えば、余剰現金を200億あり、純利益が10億の企業と、 余剰現金がなく有利子負債が700億円あり、純利益が20億ある企業をPLだけで比較することがどれだけ誤りにつながるかと考えれば明白でしょう。こんな極端なケースないでしょと思われるかもしれませんが、実際このようなケースは日本市場だけでも結構あります。

また、キャッシュフロー計算書(CF)見られてない問題も同様にあります。
キャッシュフロー計算書は、その期にどれだけ実際の現金の流れが生じたかが記載されている重要な表です。
PLが見かけの業績だとしたら、CFは本当に現金がどれだけ入ってきたか、出ていったかを表しています。PL上は利益がかなりでていても、実は設備投資がかなりかかる事業であったり、実際には現金が余っており、それを株主還元しているか、はたまた株式や債券などに投資されてしまっているかなど、諸々の情報を読み解くことができます。

こういった情報は全て有価証券報告書に記載されており、詳細に確認していくことがファンダメンタル分析には求められます。